春になると、浅紅色をした羽毛が道路脇に溢れて
果てには褐色に変わりますが、君のものですか
雨の音 ぽつ ぽつ。球体の、包み紙にくるまれているのは 思い出 ですか
これ以上進もうにも進めません
とびきり寒い夜に纏っていたセーターの
心臓にいちばん近いボタンに睨まれていて、進めません
あれは無感情で悪意すら篭っていない目だ
冷たい うるさい なのに耳は音を運ばず
そうですか
もう春ですか
何度目の春ですか
花粉が降る降る季節です
植物の終わりは枯れた時なのか
ヒトが泪を流した時なのか どっちだったか
残り何度の春ですか
君はいますか
ざーざー降りませんか
ざーざー、降りませんか