沈殿
息をしているだけでは何も起こらないから、
せめて何かがほしくて、要らない哀しみまで無理に拾ってた。
水深1000mの海底に沈む得体のしれない骨のために、
ぎこちなく泳いでは微かな水流を届けるような。
普通に無駄だし、大して哀しくもないのに哀しいフリをしてるし、
垢とか言葉の死骸みたいなものが海底に沈んで、汚れていく。
「私は此処だよ」と、叫んでみたかった。
養分も摂らず、光を探していたかった。
月明かりに照らされた美しいキミを、ずっと見ていたかった。とか、
考えながら、いまも水深1000mを漂っている。